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2017年6月21日 (水)

鉄道軌道整備法の改正を

Photo_2  昨年8月の台風10号で、岩手県岩泉町は甚大な被害を受けた。その爪痕がまだ残る小本川支流大川の流れの近くに、廃止されたJR岩泉線浅内駅の跡が残っている。駅舎とホーム、錆びたレール、そして蒸気機関車時代の給水塔が、ここに鉄道が通っていたことを教えてくれる。

 JR岩泉線は、国鉄時代に「特定地方交通線」に指定され、廃止対象路線となっていたが、並行する国道の未整備を理由に、JRの鉄道路線として引き継がれた。

 しかし2010年7月に、土砂崩れによる脱線事故が起き、さらに崩落の危険があるとしてJRは全線運休を続けて代行バスを走らせていたが、2014年3月末に、4年近い運休のまま、バス転換された。

 岩泉線の場合は、JRになってからの1990年代にも存廃問題が浮上していた、言わば「究極のローカル線」だったのだが、大きな災害が鉄道廃止の引き金になりうることを、ローカル線を抱える地域の自治体、住民に改めて認識させたできごとだった。

 岩泉線と接続しているJR山田線(盛岡―宮古間)も、2015年12月の土砂災害により、現在も上米内―川内間51.6kmが不通のままだ。この区間はようやく今年の秋に運転が再開される見通しである。

 さて、昨年末に、もう一つ大きなニュースが報じられた。不通になっているJR只見線の復旧に福島県、地元自治体が合意したというものだ。

 会津若松と新潟県の小出を結ぶ只見線は、2011年7月の豪雨によって会津坂下―小出(新潟県)間113.6kmが不通となった。復旧工事によって2012年10月までに、会津川口―只見間27.6kmを残して運転が再開された。しかし、只見川の鉄橋3本が流出するなど甚大な被害を受けたこの区間について、JRは85億円を超えるとした鉄道復旧費用と、利用客の少なさから、不通区間のバスによる輸送を提案したが、福島県と地元自治体は鉄道による復旧を求めていた。

 昨年12月26日、福島県と沿線7市町で構成する只見線復興推進会議検討会は、復旧費用の3分の一を負担することと、の維持費用の負担(上下分離方式)による鉄道復旧の方針を決定した。この3月にも、JRと復旧に向けた協議が始まるが、開通は早くても2020年とのことである。

 只見線の復旧がここまで膠着した要因は、震災後の鉄道復旧をめぐる動きとよく似ている。大規模災害であっても、現行の法律「鉄道軌道整備法」では、「該当する鉄道の鉄道事業者がその資力のみによっては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるとき」(第八条4)しか補助金を出す仕組みがない。しかし、これではJRのローカル線が大きな災害を受けると、また同じ議論が繰り返される。

そこで今、この鉄道軌道整備法を改正して、黒字の鉄道会社の鉄道路線についても、災害復旧費用の三分の一まで国庫補助ができるようにする動きが進んでいる。この法改正が早く実現してほしいと思う。

 

 

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