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2017年6月21日 (水)

沿線の人たちとの協力が不可欠

 昨今は、たいへんな「鉄道ブーム」である。鉄道の旅を扱ったテレビ番組の数も多い。女性のファンも増えていて、すそ野が大きく広がった感がある。厳しい経営状況の中でも健闘しているローカル鉄道が目立ってきたのも、ファンの増加とリンクしているのかもしれない。ファンもそうだが、鉄道の旅をしたい観光客が増えていると思う。

 沿線人口の減少は、ローカル鉄道に共通の難題だが、多くの鉄道会社は、外から観光客を呼ぶことによって、そのマイナスを埋めようと取り組んでいる。

 その中心が、観光客向けの列車を走らせることだ。今、JR各社では、豪華観光列車を相次いでデビューさせているが、ここではローカル鉄道の観光列車を上げて行く。

 ローカル線用の観光列車としては、JR五能線の「リゾートしらかみ」が老舗だが、JRではほかに、八戸線にレストラン列車「東北エモーション」、「リゾートうみねこ」、津軽線・大湊線に「リゾートあすなろ」など、多くの観光列車を運行している。釜石線の「SL銀河」、磐越西線の「SLばんえつ物語」もこの仲間だ。

 資金力のあまりない民鉄や第三セクター鉄道も、それぞれの特徴を生かした車両を走らせている。津軽鉄道のストーブ列車、三陸鉄道のこたつ列車、秋田内陸縦貫鉄道の「お座敷列車」、そして会津鉄道は「お座トロ展望列車」というマルチな観光列車だ。

 ローカル鉄道の観光列車に必要なのは、沿線の自治体や観光団体、住民との連携である。多くのローカル鉄道では、様々な形で会社外の人たちの応援を得て、観光列車を盛り上げている。たとえば秋田内陸縦貫鉄道の「ごっつお玉手箱列車」は、お座敷列車を使って角館から阿仁合まで運行するが、発車すると途中の駅から郷土料理を少しずつ積み込んで、配膳して行く。懐石料理やレストランのコース料理の手法を動く列車を舞台に提供しているわけだ。

 料理を積み込むのは、近くの農家民宿のお母さんや、旅館の女将さんだ。配膳と接客も、農家のお母さんたちが担当する。乗客はローカル列車の旅と、地域の食文化に触れる旅を同時に味わうことができる。このような手法は他の鉄道でも取り入れられている。

 列車内だけでなく、駅や沿線風景をプロデュースしている鉄道もある。千葉県の、いすみ鉄道、小湊鉄道が有名だ。いすみ鉄道は、国鉄時代に使われていたディーゼルカーがシンボル的存在で、「昭和」をコンセプトに、沿線地域全体の雰囲気を作り出してきた。国鉄時代の急行型車両は、地元産の食材を使った「レストラン列車」としても人気が高い。小湊鉄道も、小さな駅の周辺に昔の里山の暮らしの風景を再現して、レトロなディーゼルカーやSL風の観光列車が人々を楽しませている。

 これらの風景は、鉄道会社だけで作り上げているのではない。ローカル鉄道とそれを取り巻く風景は、鉄道会社と沿線の人たちが協力して磨き上げることによって初めて、たくさんの人を呼ぶ「鉄道テーマパーク」に変身できるのである。100220

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