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2017年6月21日 (水)

鉄道会社は「愛」を得るための努力を

かつて鉄道は「かたい商売」と言われ、「安全」と「定時運行」が最大の使命とされていた。

 今のローカル鉄道は、もちろんそれだけでは路線の維持ができる状況ではないのだが、少し前までは、路線維持のための新しい取り組みに消極的な会社も目立っていた。

 「第三セクター会社」は、これまで全国で数多く設立されているが、中には、経営体質を問題にされた会社も結構ある。

 鉄道の場合は、国鉄の分割民営化に伴って、切り離されるローカル線の受け皿として、多くの第三セクター会社が設立された。地元自治体の首長が社長で、社員は、自治体からの出向、国鉄・JRからの出向・転籍、それに自社の新規採用者、という組み合わせが多かった。そのため、という言い方は当事者に失礼かもしれないが、30年前の役所と国鉄の体質をそのまま受け継ぎ、しかも、経営陣に鉄道経営手法の蓄積がない、という状況からの出発だった。

 もちろん第三セクター鉄道だけでなく、以前から民営のローカル鉄道の中にも、経営体質が問題にされていた会社がある。西日本のあるローカル鉄道会社が経営危機に陥ったとき、利用者から、「鉄道は必要だが、あの会社は要らない」と酷評された逸話がある。(この会社、現在は体質改善に成功している。)

 三セク鉄道は、開業当初は祝賀ムードで利用客も多かったが、その後は利用者数の減少と経営赤字が続き、存続問題が浮上した鉄道も多かった。

 この状況に、株主の県や地元自治体では、財政的な支援の枠組みを作る一方、それまで首長が兼任していた社長職を専任にしたり、民間から社長を公募するなど、それぞれの手法で経営体質の改善を図ってきた。

 また、沿線住民による支援団体の活動も、活発化してきた。ボランティアでの清掃、美化活動をはじめとして、支援団体主催のイベントは多くの団体が行っている。

特筆されるのは兵庫県の北条鉄道で、地域住民の寄付とボランティア作業によって、3年がかりで無人駅も含めた全駅に車いすにも対応できる新しいトイレを設置した。この過程で鉄道への愛着が高まり、乗客の増加にもつながっている。

 遠く離れた地で応援団が活動しているのは、秋田県の由利高原鉄道だ。鉄道ファンが中心になって、東京や大阪などでの鉄道イベントのときに販売員をしたり、写真展を開いたりするほか、由利高原鉄道の列車を貸切りにしてのイベントも定期的に実施している。

注目されるのは、この2社のケースは、鉄道会社からの提案がきっかけになったことだ。

ローカル鉄道は、地域に愛されてこそ、存在する意味がある。そして、地域の外からも愛が得られれば、存在価値はもっと大きくなる。2006年に千葉県の銚子電鉄が発信した「ぬれ煎餅買ってください。電車の修理代を稼がなくちゃいけないんです。」のSOSに、全国の人々がすぐに応援に乗り出したことは、まだ記憶に新しい。

 鉄道会社は、もちろん「かたい」部分はしっかり守りながら、人々の「愛」を得るための努力を、惜しんではいけないと思う。


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