続・となりのツキノワグマ(1) クマの転入者
6月下旬から、北秋田市の阿仁合地区に、ツキノワグマが住んでいます。いえ、住民票を持ってきたわけではないので、「棲んでいる」というのが正しいのですが。
これまで、町のはずれを通るクマはいたのですが、今回は様相が違います。家々と商店、寺院、役所の庁舎、学校、診療所、高齢者施設、消防署、公民館などがある、旧・阿仁町の中心地に、クマがいるのです。
阿仁合の町は、駅前の通りから国道のバイパスにかけて、起伏のある緩斜面に広がり、建物と建物の間には、たくさんの木々や灌木の茂みがあります。見通しが悪い裏通りには、クマが隠れる所がいくらでもあるのです。
棲んでいるツキノワグマは、母グマと別れて置いて行かれたらしい1歳半のクマ。これがあちこちを動いています。別の、冬に生まれたばかりの子グマも目撃されています。
まだ人身事故は起きていませんが、このまま棲み続けられては大変です。庭や畑の作物への被害も考えられます。
市から猟友会に依頼して、7月16日に、クマの通り道となりそうな茂みに捕獲用の折を設置しましたが、2週間たっても、まだ捕まっていません。
クマは冬籠りの間に子を産み、1歳半で子別れをします。今回も、最初は母子連れだったそうですが、母グマは阿仁合の町の中に子グマを置いて行ったようです。食べ物がたくさんあると思ったのでしょうか。まったくとんでもない親です。
阿仁合では、クマの隠れ場所になる藪を減らそうと、刈り払い機で作業をするなど、対策をとっていますが、クマ本人が山に戻って行かない以上、檻で捕獲するしかありません。
檻に入れるエサは、果物やはちみつですが、先日、一度折に入ったものの、入口の戸が落ちなくて、逃げられたそうです。これは、クマが小型のため、踏板やワイヤーに掛からなかったようです。
2日前には、メインストリートの湊商店横で目撃されていることから、行動範囲は広がっているらしいとのこと。
このクマが東京都内に出たら、機動隊も出動した大捜査線が張られ、テレビカメラの放列が敷かれ、見物人が殺到する騒ぎになるところですが、山間の町では、ニュースにもなりません。しかし、ここは紛れもなく、人間とクマが対峙する最前線なのです。
昨年、FBと「くまのたいら企画のブログ」で、クマの話を書きましたが、今年も、少しまとめてみようと思います。
(写真は阿仁合「在住」のクマ。佐藤稔さん撮影)
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